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取水工チロルスクリーンの設計Pickup

 小水力の取水方式はチロル取水が最適ではないか と前回ブログでご紹介しました。 その考えは変わっていませんが、使用水量がかなり多い場合(0.5~1m3/s以上)かつ土石流災害の危険性が低い地点の場合には「側方取水方式」でも問題ありませんので追加しておきますね。

 さて、タイトルの「取水工チロルスクリーンの設計」についてです。

 現在まで実施設計した地点の取水方式にはそれぞれ個性がありチロル方式に違いは無いのですがスクリーンについては違うやり方を採用しています。
 そう!一番苦労するのがスクリーンなのですね。試行錯誤かなぁ?
 いかに効率良く取水出来るか が肝です。

 採用したスクリーン構造は、
 ①丸鋼バースクリーン
 ②レール鋼バースクリーン
 ③グレーチング
 ④平鋼バースクリーン

 関電で採用されていたのは、②と上記以外の「パイプ鋼スクリーン」でした。
 また、違う地点では「エキスパンドメタル方式」もありました。

 分かってきたのは、バースクリーンでは桁(バー)の幅が肝だと言うこと。

 実物を観察すると桁の上を流水が滑りチロルに落下せず少々下流へ流れて取水ロスが発生したケースがあったことです。これは関電でも若干見られた現象だと思い出しました。
 何故か? 
 取水量の水理計算は水理公式集の実験式にて行っており、桁幅と純幅との係数にて計算しているのですが、取水ロスが発生したのは実験条件との差異なのか何なのかはよくわかっていません。。。
 しかし、計算上の余裕を相当見ておりロスが出ているのはおかしいですよね。
 そこでこの領域はあまり確立されておらず経験則に頼らざるお得ないのではないかと考えています。
 
 上記4パターンの構造で分かってきたことがいっぱいあります。
 スクリーン勾配、バー純間隔、取水幅、取水工長さなどにより塵芥・土砂滞留の度合いが変化し取水効率が変動しますのでもう少し実機による実験を観察して最適化を図りたいと考えています。

 またもう一つの肝は「バー純間隔」ですよね。
 バー純間隔が大きいと同じ大きさの塵芥や土石が水車へ流入するリスクがありますので、設計に際しては取水量と水車型式により判断します。
 とあるスクリーンメーカーは取水量と水車型式を伝えてもバー純間隔にはよう答えなかったとのことです。責任回避でしょうかねぇ?
 特に気を付けないといけないのは、「ベルトン水車」で使用水量が0.3m3/s程度以下の地点でしょうか。
 ベルトン水車ノズルの詰まり防止など考えると、スクリーンと除塵機との塵芥流入防止対策が必須になつてきます。

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