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水槽(ヘッドタンク)の設計 パート3Pickup

 沈砂池兼用の水槽(ヘッドタンク)の設計については、パート2でほぼ述べたので良しとします。

 次は、本来機能の水槽(ヘッドタンク:以下水槽)余水路の必要性(省略できるのか?)ですね。

 本来の水槽は流れ込み式発電所の無圧導水路の終端にあり、水槽の水位の調整(水調運転)にて水車発電機の使用水量の制御することと、水車発電機が故障などで停止した場合の余水処理および流れ込んできた土砂や塵芥を処理する役目があります。

 土砂処理は取水口下の沈砂池にてほぼほぼ処理されますので補助的な意味合いです。
 塵芥処理は小水力では沈砂池に除塵機を設置しないケースもあり、その機能的な役目を負う場合もあります。

 今回は水車発電機が故障などで停止した場合に余水処理を行う水槽余水路を省略することが可能か? です。

 余水路を省略出来れば大幅なコストダウンが可能となりますね。

 端的に言うと水車はぺルトン水車を採用し、ぺルトンデフレクタを付加してやれば、余水路は省略できます。
 ですが、ぺルトン水車の適用領域外であればこれは不可能になります。

 では、どう考えるか?

 水調運転は、水槽基準水位を最高としています。
 余水吐を省略すると水は逃げ場を失い水槽水位が基準水位より上昇して水槽を越水してしまいますね。
 越水すると地山法面が崩壊したりとかえらいことになります。

 そこで、取水地点あるいは中間の余水吐の標高より水槽本体を嵩上げして越水しないようにし、上流側にて余水処理を行える設計にします。
 
 案外と単純なのですが、導水路の延長が長いと嵩上げが高くなります。
 また、導水路の高さ以内にしないと今度は導水路から越水するためエライことに。。

 以前設計したところの導水路はFRPM外圧管なので越水の虞はなく、また多少の内水圧が掛かっても大丈夫でした。
 そのようなことで、上流の沈砂池で余水処理を行うものとし水槽の余水路を省略出来ました。

 なお、導水路へ遡上すると段波という津波の様な現象(クノイド波)が発生して導水路内の空気が圧縮されて破裂し巻き立てが破壊する虞もあります。
 なので導水路本体は頑丈な構造(RCコンクリートやFRPM管、ダクタイル鋳鉄管など)にする必要もあります。 

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