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年間可能発電電力量の計算方法Pickup

 連日の国会でのQAには辟易しますね。
 今日は蓮舫議員のしつこい失言に菅さんが反論する場面もありましたが、やはり立憲さんは揚げ足取りに終始し、発展する議論は望めないようです。
 こんな時は、ブログです。

 さて、年間可能発電電力量ってどうやって計算するのか?
 以下、サコダ流のやり方です。

 まず、年間可能発電電力量の定義は?
 「中小水力発電ガイドブック:新エネ財団」には、
 『発電所が年間を通じて事故停止もせず、点検維持補修停止もしないものと仮定した場合に、1か年に発生が可能な電力量である。 ・・・したがって、過去10か年の毎日の流量に合わせて、毎日の発電量計算を行って可能発電電力量を求める』 とされています。

 一方、発電所の事故や点検・補修などで停止するので、その停止電力量を差し引いたものを年間発電電力量(発電端電力量:弊社では有効電力量)と呼びます。

 この有効電力量にFIT買取単価を掛け算した金額が当該発電所の「年間売り上げ」になります。

 大事なのは、いかに確からしい「年間可能発電電力量」を算定するかです。
 事業性評価の分子と分母ですからねー。
 他社さんのいろんな報告書も見ましたが、簡便な方法で計算されたものしかない様な?

 まあ、概略検討レベルでも定義づけされているように「過去10か年の毎日の流量」で計算しないといけません。
 
 次に、計算するためのデータです。

 日々の発電量は、日平均出力×24hです。
 日平均出力は、
 P=9.8・Q・H・μ ですね。
 
・Q:日平均の使用水量

 まずは、流量データを整理作成します。
 流量は実測データか至近の測水所データから推定します。

 実測データはあったにしても、1年間くらいでしょう。
 至近に運よく測水所があれば、実測データとの相関性を確認して過去9年間遡って使用できるデータかを確認します。
 相関係数が0.8程度(寄与率0.64)あればOKです。
 相関性が認められれば、測水所10か年日平均流量データにより計算できます。
 実測データはあくまで相関性確認データにしないと多大な誤差が生じるおそれがあります。要するに測定誤差が大きいからです。
 
・H:日平均の有効落差

 有効落差は使用水量により変化します。
 毎日10年間の有効落差を計算するため、ある程度簡素化して計算します。

 H=総落差-流量比^2×最大有効落差 になります。
 流量比は、Q/最大使用水量 です。
 損失水頭は流速の2乗に比例しますから、流量比の2乗に最大有効落差を掛け算した値が日平均の損失落差になりますね。
 
・μ:日平均の水車発電機総合効率
 
 正確な値はメーカーからの提示値です。
 流量比に応じた効率カーブを近似式化して計算します。
 概略段階では、NEFの「発電設備選定の手引き」より水車型式や発電機形式(誘導・同期)に応じて算定します。


 これで、計算できる前提が整ったのですが、大事なのは「最大使用水量」の決定です。
 私は流況カーブを見て豊水量以下でIRRが最大になる使用水量にしています。
 
 豊水量以下にすると設備利用率が60パーセント以上になりますし、売り上げも良くなりIRRも上がります。

 電力会社はIRRという観点ではなく発電原価やKW価値で評価するので、35日流量に設定することが多いようです。

 発電量の計算は色々な要素が関わるのでムズイですね。
 でもちゃんとやらないと駄目です。 

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