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小支台の設計Pickup

 最近、水圧管路に関わる構造物について書いています。
 今回は小支台にしょうかなー。

 小支台は露出配管する水圧管路で、固定台と固定台の間に設置する支台です。
 固定台のことを大支台と言っていたころの名残りですね。

 法面勾配がキツイところは、地山斜面を開削して埋め戻して埋設すると埋め戻した土砂が流失してしまう危険性が高く、露出配管せざる負えなくなります。
 そんな時には、水圧管を支持するため小支台を設置する必要がありますね。

 小支台は無筋コンクリートの塊。
 設置する間隔は、水圧管の材質により変化します。

 例えば、JIS鋼管など継手が溶接構造であればパイプビームとして成立する長さになりますが、精々15m程度です。
 ポリエチレン管も溶着構造ですが、剛性がなく5~6m程度です。
 そもそもポリ管の露出配管は勧めません。温度変化による変形が多くって蛇行するので、よほどしっかりと固定しないとダメですね。
 FRPMやダクタイル鋳鉄管だとそもそも単管ごとのボルト継手なので、単管毎に支持してやる必要があります。

 まぁ、露出配管はコストUPしますから設計したくないのですが、15°以上ののり面になると、埋設配管すると土中で滑動してしまうので、露出配管するしか手が無くなるんです。

 で、露出配管する法面勾配の限界は?

 関電で見たのは45°までは平気。それ以上も可能です。
 ただし、基礎地盤が岩盤であることです。
 着岩すれば、「滑動」の安定要素に対して付着力を考慮できるので大丈夫です。
 でも、よくある砂礫地盤の場合、45°くらいが限界ですね。
 それでも厳しい。。。

 そんなところは、連続基礎にします。
 180°巻き立てのコンクリート直接基礎ですね。いわゆる半巻き連続です。
 
 これの良い点は、6mピッチくらいの小支台を設置するよりコストが低いこと。
 掘削高さは抑えられるしコンクート量も少ない。
 ですが、問題もあります。

 地盤との滑動抵抗力が不足すると滑ります。
 カットオフ入れたりしますが、所詮は安心しろですね。
 なので、不足する滑動抵抗力はすぐ下の固定台に作用するものとして検討します。
 結果、下部の固定台のサイズが巨大化しますが、全体としては安価になります。

 小水力の水圧管路はいろいろと難しいです。
 
 関電の新入社員のころ、最大出力50MWの発電所の水圧管取替工事を担当しました。
 使用水量は44m3/sくらいで管路は2条、水圧管内径2mでしたが、小支台の間隔は15m程度でした。勾配は30°くらいかな。
 崖錐地盤で巨大な小支台でしたが、なんとかなりましたね。
 電力会社では正直、コストより「安全・安心設計」でした。

 そんな経験をいま生かしています。

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