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取水工(堰)の設計におけるパイピング破壊のチェックPickup

 取水工(堰)を設計する際、「転倒・滑動・地耐力」の3つの安定性要素以外に基礎地盤のパイピング破壊のチェックをします。

 パイピングは長期的に基礎地盤の空洞化や漏水の発生・増加により地盤の劣化を招き、破壊に至る怖い現象ですね。

 そもそも、基礎地盤が岩盤であれば心配ないのですが、岩盤線が深く砂礫地盤にせざるおえない場合には設計段階でチェックしておかないとダメです。
 いわゆる「フローチングダム」です。
 言葉のとおり地盤上に浮いているかのダム(堰や取水工など)です。

 パイピング破壊に対するチェックは簡単です。

 レインの式による「加重クリープ比」が地盤の土質区分以下であれば良いです。
 計算式は砂防技術基準にも書かれているので省略します。
 簡単です。

 問題は、この式を適用する構造物の基準が不明確なことですね。
 砂防技術基準設計編Ⅱ第2節(砂防ダム)によると、砂防ダムの基礎に関しては、設計編Ⅰ第2章第4節(ダムの基礎地盤の設計) を参照すること となっています。
 これは高さ15m以上のハイダムの基準です。
 小水力ではあり得ない規模。。。グレード高過ぎ!
 で、何と書いてあるかと言うと「浸透流が生じる恐れがある場合は基礎地盤の改良を行う」です。
 はぁ。。。
 グラウチング、置き換えコンクリート など そりゃあ分かっているけど、小水力の小さい堰や取水工でそこまでやるの?
 コスト掛かり過ぎて事業性が出ない。。。
 適用外でしょう。

 ほかの基準としては、砂防技術基準設計編Ⅱ第1章第7節(堰)7.3.2.2(固定堰)でしょうか。 でも明確な「解」はありません。

 小水力の小さな取水工や堰はパイピングのチェックなどしなくとも良いのか。

 しかし、そこまでやるのが安全側ですし私の考え方です。

 弊社ではいつもしっかりパイピングのチェックしております。


 久々の技術的なお話でした。(笑)

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