ピックアップPickup一覧

ホーム > ピックアップ > 概略机上検討における発電量算定のキモ

概略机上検討における発電量算定のキモPickup

 とある地点で発電量を求める際には推定した流況(以前のブログ参照)を基に最適な最大使用水量を決定します。
 初期段階では仮定値によるトライアルですね。
 
 では最大使用水量はどうやって決定するのか?
 
 まず、流況カーブより豊水量・平水量が明らかになります。
 一方、設備利用率は流量により変化します。
 過大な流量(最大出力)にすると設備利用率は低下し、過少だと限りなく100%になり、河川の能力に対して過少過ぎる設備になってしまいます。
 最適規模とはここのバランスが最適となる規模なのですが、トライアルは事業性の指標であるIRRも注視しながらになります。

 設備利用率は60%以下にならないようにしています。
 太陽光発電の5倍程度の設備利用率が小水力に求められている認識です。
 経験では豊水量以上にすると60以下になります。
 なので、最適規模は豊水量以下平水量以上の使用水量が最適になります。

 ここで重要になるのが「有効落差」です。
 有効落差は使用水量により増減しますし、また、水圧管径と延長により大きく変化します。
 水圧管による損失水頭はほぼ摩擦ロスです。
 概略検討レベルでは曲りや流入ロスなどは摩擦ロスの2割程度を見込めば十分です。

 では、水圧管径はどうやって決めるのか?
 弊社の検討シートでは、まず最大使用水量や水圧管延長を入力します。
 そして水圧管径を入力すると損失落差が計算されます。
 その際に注視するのが、総落差に対する有効落差の比率です。
 埋設水圧管路がスタンダートな小水力では水圧管路工事費のコストダウンが必須です。
 なので出来るだけ小さい径にするのですが、小さくし過ぎると損失落差が増えて有効落差も低下して出力が出ないことになります。
 また、径を小さくすると管内流速も速くなるので、水撃圧が上昇してしまうのでよろしくないです。
 なので弊社ではここのバランス(比率)を総落差の10%以内にする径にしています。
 そしてそのケースでの設備利用率が60%以上であれば取り合えずOK!
 このようなトライアルを数回繰り返して概略段階での最適規模が決定される訳です。

 因みに、水圧管の摩擦ロスは管材質により変化します。
 FRPM管の粗度係数は0.011、ポリエチレン管は0.010、ダクタイル鋳鉄管などの鉄管は0.013 なので、地点ごとの各延長を加重平均した粗度係数より計算しています。

 概略机上検討段階ではこの程度です。
 実施設計段階では全ての損失水頭を計算し加算して有効落差を求めます。

 発電量は365d×10年を計算した平均値ですが、毎日の有効落差はその日の使用水量毎に変化させて行います。
 これは水車発電機総合効率も同様ですね。

 ややこしいのは総落差が変化する場合です。
 取水ダム水位が変化する場合や放水口水位が変化する場合ですね。
 これ面倒です。。。がOKです!

このページのトップへ