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水撃圧についてPickup

 最近、水車メーカーさんの「芦野工業」の技術者さんと話す機会がありました。
 私の認識を新たにするのでしょうか?

 水力発電所の水撃圧の計算方法は「水圧鉄管技術基準:H31.4」などにて確立されていています。 と認識していましたが、メーカーさんでは違うらしい。

サコダの考えは、
 まずは、スタンダートな計算方法

 上水道のパイプラインと違うのは、水車ガイドベーンによる閉鎖時間ですね。
 ちょいと概念が違ってきます。
 

 フランシス水車などの反動水車だと、トリップすると無拘束になるので水車の回転速度が上昇し悪影響が出ますね。
 そこで、ガイドベーンを閉鎖して水車を止めようとするのですが、閉鎖時間が遅いと水車の無拘束時間が増えて回転数上昇→水車軸受け焼き付き損傷 となる。
 それを抑えようと閉鎖時間を速くすると水撃圧が上昇してしまう。 というジレンマに。
 となると、私の守備範囲である水圧管路の設計が重厚?となり、結果コストアップすることになります。

 元に戻りますが、水撃圧の計算をメーカーさんでは水圧管の材質や延長などの要素を考慮したプログラムで検討するらしいです。
 
 一方、私は水鉄基準に示されている慣用計算式で行っており、水圧管の材質(弾性係数など)は考慮するものの、延長は考慮していませんでした。

 そこで今一度、バイブルである「水力発電演習」を読み返すと、水圧管の径やその延長を「等価伝搬速度」として水撃圧の計算を行っても良い との記述がありました。
 発刊当時は水圧管は鋼管をイメージしているので、これに材質の要素を加えて「等価伝搬速度」を計算して水撃圧の計算を行うことにしました。
 材質は鋼管、ポリ管、FRPM管、ダクタイル鋳鉄管と多岐なので、それぞれの弾性係数と延長を等価すると計算できます。
 内径も変化しますね。とするとそれぞれ流速も変化してきます。

 計算して解ったことは、支配される要素はやはり閉鎖時間であることです。
 
 フランシス水車では閉鎖時間をせいぜい遅くしても静落差の30%以上に達します。 
 一方、ぺルトン水車はぺルトンデフレクタで水流を遮断後、ニードル弁でゆっくりと閉鎖すれば、静落差の10%以下にできます。
 
 いま実施設計中の地点はフランシスとぺルトンどちらも適用可能な範囲です。
 よって、ぺルトン水車を採用して欲しいと要望していますが、ぺルトン水車は精密機械なのでフランシス水車より相当高価になります。
 
 トータルでどうなるかですねー。

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