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水圧管路の設計 パート-5Pickup

 パート-4で横道にそれてしまった露出水圧管路の設計概要(概念かな?)についてです。

 林道などの道路埋設がスタンダードなのは前回も書きましたが、道路の線形形状がヘアピンカーブだったり計画している発電所の位置からどんどんズレていく場合は、ショートカットして地山のり面に配置してコスト低減を図る設計にします。
 この場合は、水圧管路を埋設するのり面の傾斜角度が土の安息角以上になってしまい降雨時に土砂崩れするなど水圧管路埋設のり面の安定性が損なわれてしまいます場合が多々あります。
 そういう時に登場するのが表題の「露出配管」の水圧管路です。
 電力会社の水圧管路は前回ブログのとおりほぼ「露出配管」ですね。

 さて、埋設配管と露出配管の違いは?
 設計の考え方が大幅に違ってきます。

 埋設の場合、水圧管がクネクネと曲がるときに作用する不平衡力を土の抵抗力(受動土圧)で抑えるのでアンカブロック(コンクリートの固定台です)の大きさを抑えることができて安価なコストになります。
 一方、露出だとアンカブロックの重量で不平衡力に抵抗するため結構な大きさが必要になります。
 イメージとしては、例えば設計水圧120m、水圧管内径0.40m、曲げ角度45°とすると、その曲がり点の合成方向には約12tの力が作用します。
 この12tを抑え込むためのアンカブロックの重量は約30tくらいが必要になります。
 30tをコンクリート重量に置き換えると約13m3ですから、コスト的にはアンカブロックの数は出来るだけ少なくするに越したことはありませんね。

 しかし、現場の条件によっては長大な露出配管が必要な場合があります。
 水圧管を埋設する道路が無く地山のり面の勾配もきつい場合です。
 この場合、かなり事業性に影響しますが実力(適地)がある地点ではそれくらいのコストを掛けても平気でペイできます。 
 
 サコダは関電勤務時代には水圧管路の設計も担当していましたので、露出配管のご提案も行っています。

 次は露出管の材質についてです。
 水圧管を露出させると日照により膨張収縮が発生します。
 伸縮は管軸方向、膨張は円周方向の発生応力となりますので、対策が必要になります。
 材質が溶接鉄管の場合は伸縮継手をアンカブロック直下に設置して管軸方向の発生応力を吸収しますし、ダクタイル鋳鉄管やFRPM管は単管毎の継手でうまいこと伸び縮を吸収してくれます。
 厄介なのはポリエチレン管です。
 単管毎に圧着や溶着して一体化しますので、管軸方向の伸び縮を吸収しない訳です。また、円周方向の膨張収縮現象が他の管材より著しいため気を使う必要があります。
 これについては固定台や小支台を多く設置して伸び縮を短距離にて拘束する設計になりますのでコストUPしてしまいます。

 このようなことから、弊社の最近の設計ポリシーとしてはポリエチレン管を使用する場合は埋設のみにしています。

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