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取水工チロルスクリーンの設計 パート-2Pickup

 チロルスクリーンは奥が深いですね。
 ノーベル賞を受賞された京都大の本庶佑特別教授の言葉にグッときました。
 「教科書を簡単に信じない」 と。
 仰る通りです!

 以前のブログに書きましたが、「水理公式集」という「教科書」を簡単に信じたらいけません。

 水理公式集では以下の実験式が提案されています。

 縦格子形底部取水工の規模については、Mostkow(モストコフ)の式を用いる。

 Lf= Q0 / μBψ √2gH

  Lf:全流量を取水するのに必要な取水工長さ(m) →上下流方向の幅
  Q0:最大取水量(m3/s)
   μ :流量係数
   B :水路幅(m) →左右岸方向の長さ
   ψ :取水路の開度(s/(s+b))
     s:スクリーン純間隔
     b:スクリーン桁幅
  H :上流側水頭(m)

 この公式にて導かれるLf以上の取水工幅に設計すればちゃんと全量取水出来るハズなのですが、実際には「桁走り」の想定外の事象が発生して計算上の全量取水が困難な場合があります。

 「桁走り」はバースクリーンの桁幅bの上を下流まで水が走ってしまい取水ロスが発生する現象です。
 何故でしょうか?
 これは水の表面張力に起因しています。
 観察すると桁幅からこぼれて取水工に落ちる水とそのまま桁幅の上を流れてゆく水があります。
 その関係は表面張力の限界に達したか否かでしょう。
 面白いことにこの現象は、桁の幅が非常に小さくとも発生します。
 過去事例では100mm近い桁幅と10mmでも同様な現象が起きて多かれ少なかれ取水ロスが発生していました。

 唸ります。。「教科書を簡単に信用しない」ことを認識しました。

 では、どうするのか?

 表面張力を少なくする方法は?

 桁部材はI型鋼やH型鋼、フラットバーなどですが、これらの桁の隅は角が立っていて表面張力が発生しやすいと考えます。
 では、丸鋼やパイプ鋼などではどうか?

 以前設計した「つくばね発電所」ではφ32mmの丸鋼のスクリーンにしました。
 純間隔Sは15mmでLfは0.40mです。
 隅が丸いので表面張力も発生せずに抜群の取水力があり実際のLfは約10cm程度で取水工に落ちて全量取水が出来ていましたから全然問題なかったです。
 ただし、最大取水量が0.10m3/sなので取水量が多い地点になるとLfが長くなり丸鋼だけの断面力では土石流による巨石の載荷に対応できません。

 では、どうするのか?

 長くなったので次回で。

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