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水槽(ヘッドタンク)の設計 パート2Pickup

 以前のブログに書いた通り小水力における水槽(ヘッドタンク)は沈砂池機能を兼用することがあり堆砂容量や機能、余水処理などに配慮して設計することが必要になりますね。
 その上でヘッドタンクとしての機能を両立させるためにも様々な工夫が必要になります。

 おさらいとして沈砂池機能についてです。

 沈砂池に求めるのは取水口から流入した砂(土砂)を確実に沈砂させて排砂できることですね。
 しっかり沈降させるための幅や長さを計算する訳ですが、前提となるのは流入する砂の粒径の設定です。
 これには水車型式と総落差が関わってきます。
 要するに水車ランナーの摩耗を今後どれくらい許容するのか?
 フランシス水車などの反動水車の場合、比較的低落差であるので砂の平均粒径は1mm程度で良いと思いますが、ぺルトン水車などの衝動水車の場合はノズルやバケットの摩耗に考慮してより小さい平均粒径に設定します。
 その結果、沈砂池内の砂粒子の沈降速度が緩やかになるため、沈砂池の長さが大きくなりますね。コストUPしますが仕方ないです。。。
 沈砂池の排砂機能ですが、これは沈砂池末端に設置する土砂止め壁の天端まで堆砂する以前に排砂ゲートで排出することが重要です。
 水圧管路や前述の水車の摩耗を出来るだけ防止するためですが、放っておくと土砂が流入し最悪は水圧管路が閉塞されてしまい発電停止に陥る虞がありますから、メンテナンスはしっかりしましょう。

 次は水槽としての機能についてです。

 水槽には取水した水量を安全かつ確実に水車発電機へ導水する機能が求められます。特に水槽直下においてエネルギー水頭が不足して水圧管へ負圧が生ずるようなことは許容できません。
 そのためには水圧管の吞口天端高さと水槽最低水位との水深が水圧管内径の2倍以上にする必要があります。
 弊社では2倍より相当余裕を持った設計にしています。
 また、水槽水面が波打つ(ハンティング現象)を起こさないためには、最大使用水量の10倍程度の水面積を持つ必要があります。
 さらに、水位調整運転を行うための水深1m程度は必要ですので、それに見合った水槽容量を確保する必要もありますね。
 もう一つ肝心なところがありますが今回はこれまでです。

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